5.印刷業界の再編成

社会情勢、経済情勢の変化に対応するため、各業界で企業合併、グループ化、業務提携等の業界再編が進んできました。電機業界、流通業界、金融業界等、日本経済を支えてきた業種で大手企業同士の合併等、こうしたニュースが数多く話題になっています。特にここ数年、長引く不況がこうした動きに拍車をかけているとも言えます。またこうした業界再編の波は、かの印刷業界でも決して例外ではありません。
これまで印刷業界はオーナー企業、或いはオーナーシップの強い企業がその業界の中で多数派の位置を占めていました。そして、これまでは他社との統合や業務提携等といった話はあまり聞かれませんでした。しかし、印刷業界全体とそれを取り巻く環境の変化は、こうした今までの印刷業界の有り様をも変えつつあります。ではここで触れたような印刷業界の再編には、その背後にどういった事情があるのでしょう。
現在の長引く不景気が特にそうなのですが昨今の経済情勢の変化や、また印刷関連の技術の発達によって、顧客が要求するサービスの内容が複雑化、且つ多様化しています。これまでの印刷業界では、印刷の版式や営業品目によって、印刷業界では暗黙のうちに棲み分けがなされていました。ところが顧客の要望の多様化によって、技術的にもコスト的にも一社でそれを満たすことは難しくなってきました。ならば自社にない技術、サービスをお互いに補完するという目的でいくつかの印刷会社が提携し、営業力、競争力を保持しようとする動きが出てきました。勿論そうすることで顧客を囲い込もうという意識もあります。実のところ従来から仕事仲間として仕事を回しあってきた仲ではありましたが、この際業務提携というすっきりとした明確な形を打ち出すことで、より戦略的に展開しようということです。
印刷業界の再編成を促進するもう一つの要因は、技術の革新です。そして近年のその確信のサイクルが確実に早まってきました。そうなれば今日技術の革新に一社で対応するには非常に大きな負担を強いられます。技術の革新について行くには当然技術開発への投資、人材の育成が不可欠ですが、それは膨大な作業とコストを伴い、従って一社だけでそれをしようとしても、とても追いつくものではありません。そこで印刷業界も知恵を絞ることになります。例えば他社の設備を利用する、設備を共同購入・共同使用する、仕事を外注化するなどといった方策を考えだして、その結果自己負担を減らす、資源や人材を有効に活用するといった動きが出てきています。
こうした一連の動きを、IT技術の発展、ネットワークインフラの整備といった外部環境の変化が後押ししています。例えば全国規模で展開する印刷会社が、印刷工程を行う場合、まず各地の印刷会社に電子ファイルで印刷用データを発信し、納品先に最も近い印刷会社に印刷を依頼するといったケースもあります。そうした地道な取り組みを通して、減らせるコストや人手なら、それらを少しでも減らそうとしているのです。
他の業界にも言えることでしょうが、印刷業界もまた同じです。生き馬の目を抜くとでも表現したらいいような、そんな現在の時代のめまぐるしい変化に対応するための、印刷業界間での生き残り競争、または印刷企業内の再編成の動きは、これからまだまだ増加し、また激化していくと思われます。印刷業界としては、ここで時代の流れに翻弄される形で立ち止まっているのではなく、常に前向きに情報をつかみ、変化を見据えて、一歩一歩先を歩いていく努力とその試みが必要となってくるでしょう。印刷業界が押し寄せてくる波に立ち向かうのではなく、印刷業界が寧ろこれから変革の波を生み出していく。そのように、これからの印刷業界には寧ろそれくらいの気概と覚悟とが必要となるのでしょう。

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最終更新日:2017/10/11